トラゾドンとは？抗うつ薬が睡眠に使われる理由

トラゾドンは抗うつ薬の一種で、日本では「レスリン」「デジレル」などの商品名で処方されます。1970年代に開発され1990年代から国内で使われていますが、近年は新しい抗うつ薬（SSRIなど）の登場でうつ病治療での使用は減りました。その一方で、副作用で現れる強い眠気を逆手にとって、不眠症状の改善目的で用いられるケースが長年あります。

「依存しにくく、ぐっすり眠れると聞いた」――トラゾドンに期待を寄せる声は少なくありません。しかし、国内での承認効能は「うつ病・うつ状態」であり、不眠症への使用は医師の裁量による適応外です。本記事は広告・購入誘導を目的とせず、一次情報にもとづく中立的な解説として、トラゾドンと睡眠の関係、注意点、そして薬に頼りきらない眠りの土台づくりをやさしく整理します。医療判断は必ず主治医とご相談ください。

なぜ眠くなるのか

トラゾドンは脳内のセロトニンを増やすSARI（セロトニン拮抗阻害薬）と呼ばれる薬です。セロトニンの再取り込みを阻害しつつ、特定のセロトニン受容体（5-HT2Aなど）を遮断する働きがあります。

加えてヒスタミンH1受容体やアドレナリンα1受容体もブロックするため、強い眠気や血圧低下（立ちくらみ）を引き起こします。この眠気は本来「副作用」ですが、不眠の治療に「うまく利用すれば効果になる」とされ、実際に睡眠薬代わりに処方されることがあります。

特に「睡眠薬を使わず不眠を改善したいときに使う依存性がない薬」という位置づけで、依存リスクの高いベンゾジアゼピン系睡眠薬の代替として用いられています。

保険適用について

なお、日本でトラゾドンは不眠症に対する保険適用はありません（適応疾患は「うつ病・うつ状態」のみ）。不眠への使用は医師の判断によるいわゆるオフラベル使用ですが、専門医の間では不眠症治療薬として広く認知されています。

トラゾドンは睡眠にどう効く？効果と特徴

トラゾドンが不眠の方に選ばれるのは、睡眠に対して次のような効果が期待できるためです。

寝つきを良くする

服用することで強い眠気が生じ、布団に入ってから眠りに落ちるまでの時間を短くする手助けとなります。実際、専門家もミルタザピンやトラゾドンなど鎮静系抗うつ薬は夕食後や就寝前に服用することで睡眠を促すと述べています。

夜中に途中で目覚める回数を減らす

睡眠途中の覚醒（中途覚醒）が起こりにくくなり、一晩を通じてまとまった睡眠をとりやすくなります。患者さんの声にも「眠りが深くなり、夜中に途中で目が覚めなくなりました」という報告があり、夜通しぐっすり眠れたと感じる人がいます。

深い睡眠（徐波睡眠）の増加

睡眠の質が向上し、浅い眠りよりも身体と脳をしっかり休める深い眠りが増えるとされています。実際に、抗ヒスタミン作用や5-HT2受容体遮断作用を持つ抗うつ薬（ミルタザピン、トラゾドン等）は徐波睡眠（深い眠り）の量を増やすことが報告されています。

トラゾドンの場合、先述の5-HT2A受容体遮断作用が深い睡眠をもたらす要因と考えられています。

使用方法

このように「眠れない」「途中で起きてしまう」「眠りが浅い」といった不眠の症状全般にトラゾドンが助けになる可能性があります。特にうつ病で不眠を伴う場合には、抗うつ作用と睡眠作用を一石二鳥で得られるメリットがあります。

医療機関では通常25～50mg程度の少量を就寝前に用いることで、不眠症状の改善を図ります（抗うつ効果を狙う高用量時よりも低用量で鎮静作用が得られるため）。

トラゾドンのメリット：依存性が少なく安全に使える

トラゾドン最大の利点は、安全性が高く長期使用しても依存や耐性（効き目の減弱）が生じにくい点にあります。

依存性が少ない

一般的な睡眠薬（ベンゾジアゼピン系やその類似薬）は使い続けるうちに効き目が落ち（耐性）、量を増やしたくなったり常用しないと眠れなくなる依存の問題が指摘されています。しかしトラゾドンは抗うつ薬であり依存性はありません。

そのため習慣性を心配せずに比較的安心して長期間使える睡眠治療薬として重宝されています。

睡眠時無呼吸症候群でも使いやすい

また、睡眠時無呼吸症候群（OSA）を抱える不眠患者にも使いやすい点も重要なメリットです。多くの睡眠薬は筋肉を緩める作用から無呼吸を悪化させるおそれがありますが、トラゾドンはそうした呼吸抑制が少ないとされます。

実際、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群でも使用できる」メリットがあるとの報告もあり、海外の臨床研究ではトラゾドン服用により無呼吸指数の改善がみられたとのデータも出ています。このように心肺機能への影響が小さい点は、高齢者や呼吸器に不安のある方にも安心できる特徴と言えます。

調整しやすい

さらにトラゾドンは少量から多めの量まで調整しやすい点も挙げられます。個人差がありますが、人によって25mg程度のごく少量で十分眠れる場合もあれば、100mg前後が必要な場合もあります。

錠剤は25mgと50mgがあり、処方医の判断で増減しやすいため、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの服薬が可能です。

※注意: トラゾドンは依存になりにくいとはいえ「抗うつ薬」ですので、自己判断で市販購入できる薬ではありません。使用する際は必ず医師の処方と指導のもとで正しく服用してください。

トラゾドンの副作用と注意点

トラゾドンは眠気・ふらつき・立ちくらみなどが起こり得ます。自動車運転など危険作業は避けることが基本です。また、QT延長や出血傾向の増大、他剤との相互作用など、医師の管理下で注意すべき点が複数あります。用量や併用薬、基礎疾患によりリスクは変わるため、自己判断での使用やネット情報のみでの判断は避けましょう。

よくある副作用

めまい・立ちくらみ・ふらつき（約9.5%）

血圧が下がる作用によるもので、急に立ち上がった時などに起こりやすい症状です。起立性低血圧とも呼ばれ、高齢の方は特に転倒に注意が必要です。

眠気（約8.2%）

非常に強い眠気が出ます。人によっては日中まで持ち越すこともありますが、通常は夜寝る前に服用することで問題を最小限にできます。医師からも「他の時間帯は危険なので必ず寝る直前に飲むように」と指導されるケースがあります。

口の渇き（約6.3%）

口が渇く不快症状です。水分をこまめに補給したり、就寝前に少し水を飲むなどで和らげることができます。

便秘（約3.9%）

腸の働きが緩やかになることで便秘が起こることがあります。食物繊維を取る、必要に応じて便秘薬を使うなどで対処します。

倦怠感（約1.8%）

身体がだるく感じたり、朝起きたときに疲れが残る感じがすることがあります。一部の人は「飲み始めてからだるくてやる気が出ない」と感じるようですが、こうした症状は服用量の調整で改善することもありますので、強い場合は医師に相談してください。

吐き気・嘔吐（約1.2%）

胃のむかつきなど軽い吐き気が起こることがあります。これも一過性であることが多いですが、つらい場合は胃腸薬を併用できるか主治医に相談しましょう。

頭痛・頭重感（約1.1%）

頭が重い感じや頭痛がまれに起こります。

注意すべき点

以上のように副作用の頻度自体はそれほど高くなく、出ても比較的軽微なものが中心です。特に眠気は目的の一つでもありますが、想像以上に強く出る場合もあるため注意しましょう。

車の運転や危険作業は基本的に服用中は避けるべきです。また眠気対策として、就寝直前の服用を徹底し、服用後はすぐ横になるようにしてください。

まれな重大副作用

もう一つ知っておきたいのはごくまれな重大副作用です。トラゾドンでは男性に「持続勃起症」（陰茎が痛みを伴って何時間も硬いままになる症状）が生じることが報告されています。

頻度は約6000人に1人と極めて低いものの、放置すれば永久的な機能障害につながる恐れがあるため注意が必要です。男性で服用中に不自然な勃起が2～4時間以上続く場合はすぐ医療機関を受診してください。なお女性でもクリトリスの持続勃起症が起こり得るとされていますが、いずれにせよ非常にまれなケースです。

その他、他の抗うつ薬と同様にセロトニン症候群（発熱・発汗、下痢、震え、意識混濁などの重篤な反応）や躁状態の誘発がごくまれに起こることも知られています。特に複数の抗うつ薬やトラゾドンと別の抗うつ薬を併用しているケースでリスクが高まります。

不安な症状が現れた際はすみやかに主治医に連絡しましょう。

利用者の口コミ・体験談：実際の評価は？

トラゾドンを実際に使用している人たちの声も参考になります。

※個人の感想であり、すべての人に同様の効果・影響があるわけではありません。

効果を実感する声

インターネット上の口コミを見ると、「眠りが深くなったと思います。夜中に途中で目が覚めることがなくなりました」と睡眠の質向上を実感する声が多くみられます。

また「この薬はとてもぐっすり眠れる気がします。良く眠れると気分もスッキリして病気も良くなるのではと希望が持てます」というように、しっかり眠れるようになったことでメンタル面の改善に前向きになれたという意見もあります。

不眠に悩み続けていた方がトラゾドンの服用で「しっかり寝たという感覚が得られて助かっている」という体験談もあり、睡眠導入剤だけでは浅かった眠りが深まったと感じる人もいるようです。

副作用に関する声

一方で、副作用に関する口コミも少なからずあります。例えば「眠気が強くて頭がふわふわし、日中はふらふらしてしまう」、「朝にだるさが残ってしまう」といった声や、「飲むとふらつくので寝る直前にしか飲めない」という注意点を挙げる人もいます。

中には「食欲が増して体重が増加した」と感じた方もおり、賛否両面の体験談が見受けられます。

まとめ

こうした口コミからも、トラゾドンは「合う人には実感できるが、人によっては副作用が気になることもある薬」と言えそうです。特に眠気の強さについては個人差が大きいようですので、最初は休日の前夜などに服用し、翌日の状態を確認してみると良いかもしれません。

もし副作用が強く出てしまった場合は無理せず医師に相談し、減薬や他の治療法を検討してもらいましょう。

深い眠りのために薬以外でできること：睡眠環境の改善

トラゾドンのような薬は不眠対策の一つですが、睡眠の質を高めるには生活習慣や環境の見直しも欠かせません。寝具・寝室環境の最適化は、入眠のしやすさや中途覚醒の減少に直結します。

寝室環境の重要性

厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」によれば、寝室の環境や寝具（枕・マットレス・布団）を整えることで「寝つきが悪い」「夜間によく目が覚める」といった不眠が改善される場合が多いとされています。

特に毎晩体を預けるマットレスの質や硬さは重要です。柔らかすぎる寝具では身体が沈み過ぎて姿勢が崩れ、逆に硬すぎる寝具では痛みや血行不良で熟睡できなくなることが指摘されています。

自分に合った適度な反発力のマットレスを使うことで、自然な寝姿勢が保たれ、途中で目覚めにくくなるのです。

温度・湿度・光・音の調整

また、寝室の温度・湿度、光や音も睡眠に大きく影響します。就寝時は室温約33℃・湿度50%前後が快適と言われ、夏冬で寝具を調整すること、就寝前に強い光を浴びないこと、静かな環境を確保することなども熟睡の手助けになります。

寝具選びのポイント

寝具選びは良い眠りへの第一歩です。もし現在お使いのマットレスや枕が合っていないと感じる場合は、専門店で相談してみるのも良いでしょう。

亀屋家具では、睡眠の質向上にこだわった各種マットレス（例えば日本ベッド、シモンズ、サータなど世界的にも評価の高いブランド）を取り扱っております。体型やお好みに合う寝具を選ぶことで、薬の助けが必要な不眠も改善しやすくなります。

睡眠環境でお悩みの際はぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

トラゾドンの特徴

• トラゾドンは抗うつ薬ですが、強い鎮静作用を利用して不眠症の治療にも用いられる薬です。国内では「レスリン」「デジレル」などの名称で処方されています。
• 寝つきの悪さの改善、夜中の中途覚醒の減少、深い睡眠の促進と、睡眠の質を総合的に高めることが期待できます。うつ病に伴う不眠では一石二鳥の治療も可能です。

安全性について

• 依存性や耐性がつきにくいため、ベンゾジアゼピン系のような習慣性を心配せず比較的安全に長期使用できるメリットがあります。また呼吸抑制が少なく、睡眠時無呼吸症でも使いやすいとされています。
• 主な副作用は眠気、めまい、口の渇き、便秘など比較的軽いものが中心です。ただし眠気が強いため車の運転は禁止、服用は就寝直前に限るようにしましょう。極めてまれに持続勃起症など重大な副作用も報告されていますが、必要以上に心配しすぎず医師の指示を守ることが大切です。

総合的な不眠対策

不眠解消には生活習慣や寝具・寝室環境の改善も重要です。自分に合ったマットレス・枕を使い、静かで快適な環境を整えることで、薬に頼らずぐっすり眠れる夜に近づけるでしょう。

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